© 22世紀に残すもの

​お問い合わせ

新しい時代を拓く若者たちへーどのような未来を開くか 芳村 思風氏

May 25, 2017

 

●生命の目的

時代そのものが近代から次の新しい時代に転換していく大転換期に、私たちはどのような夢、理想、希望を持てばよいのでしょうか。大激動の中で自覚すべきは、私たちは何をするために生まれてきたのだろうという「問い」です。その問いに対して、人生そのものではなく、命の根底からアプローチしていきます。命には目的があるのです。意味のない人生には生き甲斐がないですよね。目的がはっきりしないと人生に価値は生まれません。

生命の目的は、「自己保存」と「種族保存」です。生物学において、人間も含め全ての生命は自分の命を長らえ、子孫を残すことを目的としています。私たち人間にとっての命の目的は何になるのかを考えることで、人生の目的が見えてきます。

 

 

 

●自己保存と意志

自己保存という目的が人間の命から湧いてくるとき、それは「欲求」として現れ、「意志=will」となります。willとは「意志」であり、「意思」ではありません。方向性を持つので「意志」という漢字で表現します。自己保存には意志が不可欠です。意志が弱いと、最後まで続けることができません。意志の目的は、「自己実現、自己創造、自己完成」です。

今まで、意志が強い人=理性が強い人、だと思われていました。意志が強い人はしなければならないことができる(したいことは我慢する)、つまり理性的な人であるという認識でした。このような理性的な意志は、作為的な意志であり、「したいことを我慢する」ということが半分含まれています。したいことを我慢しているので、理性的な意志には限界が出てきます。どんな困難も理屈抜きに乗り越える、やり抜ける根拠となるものは、命から湧いてくる欲求の強さです。理性で抑えられない欲求を持つことが、意志の強い生き方であると言えます。

 

 

 

●命から欲求を引き出す

今の時代、したいことがないという人が多くいます。したいことがないと、他人に言われたことをさせられるだけの奴隷となってしまいます。それは、誇りある人生ではなく、他人に支配された人生になってしまうということです。自分の意志、決断によって肉体を動かすことが大切です。そのためにも、人生を生きる強い意志=命から湧きあがる欲求、生きていく本当の力が必要になるのです。欲求がないと自分の人生を創ることができません。自分の人生に、理屈抜きに湧く欲求があるかどうか考えてみましょう。理性は人間にとって共通のものなので、理性的でいると個性がなくなってしまいます。理性だけでは本当の自分から遠ざかってしまい、本当の自分が分からなくなります。鮮やかな自分になるには、自分の欲求をつかみましょう。本当の自分に出会うため、つまり命から欲求を引き出すために、理性を手段として使うのです。

 

<命から欲求を引き出す3つの問い>

  1. 将来どんな人間になりたいか。

  2. 将来どんな仕事をしたいか。

  3. 将来どんな生活を送りたいか。

 

この3つを問うことによって、自分のなりたい人間性が見え、今すべきことがはっきりします。命から「こうなりたい」というものを呼び起こし、どんな人間になるか自分で決めるのです。目標を持たないと個性は出ません。どんな大人になりたいか学校では問うてくれないので、家庭や個人でこの3つを問う必要があります。

社会とは、お互いに役に立ちあうことです。お互い役に立ちあうために人間が作ったものが「職業」です。どういう仕事したらいいかな、と命から欲求を引っ張りましょう。したいことをしてそれがお金に繋がらないと情熱を傾けられませんよね。本当にしたいことがどうしたら人の役に立って、お金が入るか考えるのです。仕事を決めるうえでも欲求は大事なのです。

生まれてから死ぬまでの時間において、将来どうなりたいか。それを描いている人は今を生きているということになります。理想や夢は今の中にあり、今を生きるための原動力になります。夢さえあれば辛さに耐えることができます。理想や夢は実現できなくてもいいのです。理想や夢があることで、今何をすべきかが分かるからです。今の連続が未来になります。こうして、理想や夢が今を作っている、というだけでも意味のあることなのです。

 

 

 

●天分

もうひとつの本当の自分とは、「天分」です。天分とは、天の仕事の一端を担える能力を、母なる宇宙がその子だけに与える才能のことです。天分のツボにはまることが最高の人生といえます。顔が一人ひとり違うということは、自分にしかできないことがあるということを意味しています。みな独特の才能があり、顔の違いは才能の違いの証明です。遺伝子は能力が物質化したもので、全人類がみなそれぞれ違うのです。天分をもらって生まれ、それは死ぬまでなくなりません。80歳、90歳でもいつご縁で才能が開くか分かりません。誰とも違う、自分にしかできないことを探しましょう。天分のツボにはまる人生を実現しようと生き抜くことが自己実現です。

欲求を持つこと、天分を知ること、が本当の自分に出会うということです。本当の自分は変わらないと思い込んでいる人が多いですが、自分を変える、成長することこそが自己実現と言えます。逆に、変らない自分は自己実現に値しません。西洋的に、本当の自分とは変わらないものであると思われてきました。だから自己実現できなかったのです。成長する自分を知る必要があります。

 

<天分を見つける5つの問い>

  1. やってみて、好きになれるかどうか?

(好きであれば、天分。好きにならなければ天分ではなく、やってはいけないこと。やればやるほど面白く止まらなくなるのが天分です。天分は命に潜在する能力=遺伝子=物質です。今までは才能、能力、精神は意識的なものだと思われていたので漠然としていました。しかし、能力は物質であり、肉体であり、目に見えて分かるもの。つまり肉体を使って、やってみたら才能があるか分かるのです。)

  1. やってみて、興味関心が湧いてくるかどうか?

  1. やってみて、得手・得意と思えるかどうか?

  2. やってみて、他人よりうまくできるかどうか?

(何回かやってみて、他人に負けたらやめること。)

  1. 真剣にやってみたら、問題意識が湧いてくるかどうか?

(言われるままやるだけなら才能はありません。本当に才能があれば、命から問題意識が出てくるはずです。)

この5つの方法で探ると強烈なものが命から湧いてきます。その一つにかけて集中すると、世界一に近づくことができます。

 

 

 

●意志=自己実現+志

意志にはもうひとつ役割があります。意志とは、志を意識する、ということです。志とは、外から自分に与えられるものです。社会、国、世界にある問題に食らいつき、自分が解決するのだ!という気持ちが、志です。自己実現は自分の内から、志は外から。自分を超えた大いなるものに自分の命をささげるのが意志であり、「意志=自己実現+志」なのです。

 

 

 

●種族保存

種族保存の欲求は「愛」です。愛は人間と人間、人間と万物を結合する力。愛の目的は、素晴らしい人間関係を作ること、より良い人間関係にすることです。私たちはみな、命から湧く欲求として「できるなら仲良く信じあっていきたい」と感じています。なぜそのような欲求が出てくるのでしょうか。それは、命が母なる宇宙によって作られるからです。母なる宇宙は、「子どもたちがみんな仲良く生きてほしい」という願い、祈り、想いを私たちの命に託したのです。

 

 

 

●矛盾を生きる

母なる宇宙の願いを叶えるためには、人間らしい心を持った人生を送るべきです。つまり、戦争は母の願いに反しています。平和が大切なのです。対立を乗り越えていかなければなりません。価値観が違う人とは合わない、一緒にやっていけない、となってしまう人がいます。自分しか認めることができない、自分しか愛せない人は偽物です。男と女、「異なるものが愛し合うこと」が愛の原点です。生物学では、自己保存のために無糸分裂(自分が分裂)して増える時代もありました。しかし自己愛は真の愛ではありません。異なるものを愛することが愛の原点です。そして、性格が違う人とでも一緒にやっていけるのが社会性です。愛を持って生きていくとは、考え方・価値観の違う人とともに生きる、つまり「矛盾を生きる」ということです。違うとはどういうことなのかをまずは知るべきですね。考え方の違いとは、体験の違い、経験の違い、知識・情報の違い、解釈の違い、出会いの違い、です。考え方が違うとは、つまり相手が自分と違う体験、経験、知識・情報、解釈、出会いを持っているということ。成長するには自分にないものを学ぶ必要があります。敵は自分にないものを持っている。敵と付き合って学ぼうとしない限り、成長はできません。敵は自分にない何を持っているのか、知りたいと学び取る愛。違いを学び合って教えあうのが愛の成長の原理です。これからの人類に求められるのは、矛盾を生きる力、愛の能力なのです。戦争を乗り越え、矛盾と生き、愛の能力をどう成長させていくか、考えていかなければなりません。

 

 

 

●新しい時代を創る

愛には目的がもうひとつあります。愛(=種族保存)とは、命の歴史を創るということ。つまり、新しい時代を創ることが愛の実現となります。

意志、愛を実現するための4つの課題があります。

  1. 自己実現

  2. 志の実現

  3. 素晴らしい人間関係をつくる

  4. 新しい時代を創る

私たちは、この4つに対して命をかけることができるのです。人生とは、愛と意志のドラマです。素晴らしい人生を生きるには、何に命を懸けるか、この4つの目的を知る必要があります。最高の人生とは、死んでもいいと思えるものを持って生きる人生です。命は、燃え尽きて死んでいきたいのです。不完全燃焼ではくすぶった命になってしまいます。生まれて、生きて、よかったと思って死んでいきたい。何のために死ねるか、宇宙から与えられた仕事をしているか、を知る必要があります。

心は意味と価値を感じる感性です。意味と価値を感じるものには命を懸け燃やすことができます。今やっていることに命を懸けられないとすれば、それは意味と価値を感じていないからです。親はこの子のためなら死ねると思っています。それが愛です。それを探し求めるのが人生の旅なのです。孔子の言葉に「朝に道を聞かば夕べに死すとも可なり」とあるように、意志、愛する者のために生きて死ぬということです。

大転換期において混乱していますが、それは新しいものが生まれるということでもあります。これほど素晴らしい時代はありません。大いなる夢を持って生きてください。

 

 

 

 

 

<質疑応答>

Q:天分、母なる宇宙とありましたが、神とはどんな存在なのでしょうか。また、命は1度切り、もしくは生まれ変わる前提、どのようにお考えでしょうか。

A:人間は宗教を持ち人間性を持ちました。なぜ神という存在を意識して生きるのでしょうか。それは、何らかの大いなる力でつくられた命であると、命自身が知っているからです。それを自覚化するのが原始宗教です。人間は目覚めた宇宙です。宇宙は外にあると考えがちですが、我々も宇宙の一部なのです。原始宗教はそれを言葉で表現しています。民族によって、サムシンググレート、神、仏、アラーなどと表現は異なりますが、対象は同じです。みな与えられた命を生きているのです。キリスト教の聖書に「はじめに言葉ありき」とあるように、言葉でもって大いなるものを自覚して生きられるのです。目に見えざるものが目に見えるものを支配している。神は必然的であり、理屈を超えた事実なのです。

命が1度きりか、生まれ変わるかということに関して、あの世のことは分かりません。分かる範囲で充実した人生を生きるのが良いと思います。

 

Q:アウシュビッツで600万人の人が犠牲になりました。その人たちは自分の意志と反して亡くなったと思うのですが、それをどう理解したらよいでしょうか。

A:宇宙に偶然はなく全て必然です。なぜ起こったのか、意味は何か、問うことが大切です。「万象是我師(ばんしょうこれわがし)」というように、全てが何かを教えてくれる先生です。対存在の原理によって、宇宙全体が+-、陰陽、表裏、半分ずつで構成されています。どんなに悪をなくそうと思っても常に存在するのです。悪とは、何が善かを教えるために出てくるもの。善悪半々、すべては一対なのです。自分がどんなにいいことをしても、それによって不利益を被る人も半分はいるということです。それが宇宙の構造。命に教えるためにひどい悪が出てくるのです。大悪起これば大善来るとも言いますね。

 

Q:人類が犯した大きな過ちからの教えとして、広島への大遷都をお考えですか。原爆を忘れないように、日本人が平和のために立ち上がるために。また、私たち世代は戦争を体験しておらず戦争との距離ができていますが、私たちにできることはどういったことがあるでしょうか。

A:平和を実現するためには、首都を広島に持っていく必要があります。そうすることで、将来の子どもたちが平和に貢献するという行動が出てくるのです。広島への遷都は、平和の意欲を掻き立てるために、まずやっておくべき大前提です。このことは将来、人類への贈り物になるでしょう。

 

Q:親子間でトラウマがあったり自殺も増えたりと、愛を信じられないような社会になっていますが、そんな中で愛の実力を鍛えるにはどうしたらよいでしょうか

A:人間関係、人倫の崩壊の根本は民主主義です。権利を主張する愛なき社会になってしまいました。みんなが、自分を守ろうとしています。人間同士が対立して生きるようになってしまったのです。これまで愛は自然発生するものとされ、文学の中で表現されるだけで、学問の対象となりませんでした。このままでは、愛に歴史、進歩がない状態です。愛の文化を作らなくてはなりません。文化とは自然に人間が手を入れて、より良くすることです。愛は単なる感情ではなく、能力なのです。愛を文化たらしめて、生きる力にしていかなければならないのです。

 

 

 

 

<芳村思風先生 プロフィール>

感性論哲学創始者。学習院大学大学院博士課程を中退し「思風庵哲学研究所」を設立。感性が生命の本質であり、人間の本質であり、宇宙の究極的実在であるとする、<感性を原理とした哲学>を世界で初めて体系化。全体系は、講演にして200時間に及ぶ。全国各地で講演活動を続け、経営者はじめ、サラリーマン、主婦、学生など幅広い層が、全国20ヶ所以上で感性論哲学を学んでいる。講演・勉強会は、年間200 回を数える。2013年10月、感性論哲学を多くの人に広げ、後世に伝えるための「思風会」発足。

 

 

Share on Facebook
Share on Twitter
Please reload

特集記事

I'm busy working on my blog posts. Watch this space!

Please reload

最新記事
Please reload

アーカイブ