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「憲法変えるとどうなるの?」 水上 貴央 氏【選挙に行こう!参院選直前 5日間連続集中講座 No4】

July 6, 2016

■憲法に特化したきっかけ

弁護士となり、事業仕分けもやり、宝くじなども仕分けました。この頃はまだビジネスロイヤーでしたが、原発事故のあと東電は電気料金10.8%の値上げを申請し、結局8.46%に落ち着きましたが、東電の財務諸表を読むことができるので、外部有識者として値上げと戦いました。

 

東電があれだけの事故を起こしたのになぜ潰れないのだと思いますか?

補償総額は10-30兆円と言われています。財務諸表はそんなに良い内容ではないので、そのままでは債務超過になり倒産します。しかし東電は今、過去最高益を出しています。なぜでしょうか?

そうです、国のお金が入っているからです。国は東電に損害賠償のためのお金を貸しています。でも借りたお金ならBS(バランスシート)の負債に計上され、債務超過になるのではないか?と思いませんか?

実はBSには損害賠償はのりません。PL(損益計算書)のみです。

では、借りているお金はどうなるのか?特別利益になるのです。特別利益というのは、その会社の通常のビジネスで得た利益ではない利益を指します。利益処理だからBSにはに入らないとされます。さらに「返済義務がない」のです。(←?!法的にはありません)

東電には、電気料金を値上げして儲かるなら、その分返済すると約束して欲しかった。10.8%値上げすると、東電はめちゃ儲かるんです。私の試算では4%で十分です。

(でもそんなことを言ったら、「水上さん、しばらく電車に乗らないでください」と言われました)

 

値上げ申請の時、東電社員にボーナスを払うかどうか、ということが問題になりました。私は払えばいいと思いました。社員やフクシマで働いている人は懸命にやっているのですから。でも役員は別です。そのボーナス分は値上げの1%に相当する程度でした。東電は、

特別負担金も払わないし、内部留保をどんどん溜め込んでいます。

こうして東電と戦うと永田町には出入り禁止になり環境省くらいしか入れなくなりました。

 

原発事故があった時、ビジネス的にどうであれ「なんやかんやいっても国が滅んだらおしまい」だと思いました。短期的には原発はコストは安いですが、廃炉の際の処理コストは膨大にかかります。それを子孫に付け回す仕組みだから、原発は安いのです。

その時思ったのは「未来の国民には人権がない」だけど今僕らがやっていることは未来の国民の人権侵害ではないか、それはおかしいのではないか、ということでした。「人権はどうして未来の国民には認められないのか?」原発事故で、憲法を勉強すべきだと思い、それが私の原点です。

 

 

 

■原発の時効の延長立法を提出

不法行為(民法709条:債権の発生原因の一つである、不法行為の成立要件を規定している。)は724条で時効が定められています。損害賠償をしたら3年で時効になる、それ以降何の義務もなくなるのです。

これは民法で3年ということで、原発に関してはそもそものばしておけばよかったのに、その時点では原発では事故は起きないとされたので、時効をのばすことはしていませんでした。原賠時効特例法で時効は10年に伸びました。

日弁連も協力してくれ、その後安保法制を潰したいと、ロビーイングを命じられました。倉持弁護士と安保のロビーイングをし、内容をよくわかっていた共産党以外のすべての政党のロビーイングをしました。

ロビーイストとして国会の質問原稿も書いていましたし、政治家への入れ知恵もやっていました。6人中4人の質問を書いたこともあります。

 

 

 

■更にとんでもない憲法改正

安法法制の時は、かまくら採決が行われました。

この経緯は以下のようです。

・委員長の不信任決議案が提出され、私は横浜地方公聴会で公述人をやりました。

・鴻池委員長に「単なる多数決主義は民主主義ではない」と啖呵を切りました。

・翌日不信任決議が出て、その間佐藤氏(ひげ)が委員長の代わりに進行をしていました。その間は、議事が止まっていたのです(タイムと同様の扱い)

・委員長が戻ってきて座った瞬間3秒ほどでかまくらができましたので、練習していたのだと思います。そして、ひげの佐藤氏が6回合図をして議員たちが立ったり座ったりをして、可決されたということになりました。

 

これは株主総会で言えば、「決議不存在」になります。

物事を決するときは、決める人が少なくとも「何について採決をとっているのか」を知っています。しかし、かまくら採決の時は、何の決議が採られていたのか、誰も知りませんでした。学級崩壊以下、国会は学級崩壊以下の状態だったのです(タイム中だったのですから)。

 

民主主義と多数決主義は違います。

民主主義は最後は多数決によりますが、プロセスとして

・議論→相互理解→論点整理→最後価値判断になった多数決

というものです。

今回は多数決主義でもなく、

「かまくら主義」  →「いざかまくら」

と言っています。笑い事ではありません。

 

つまり

1 今この国は、

立憲主義でもなく、民主主義でもない国になっています。

それに対して国民は怒らないと、法律家の存在意義もありません。これは戦わないわけに

行かないなと思いました。

 

2 安法法は無効

基本的に、本会議決議の前提として、委員会決議が必要です。しかし今回の安法法制に関しては、今まで説明してきたように、委員会の「議決の不存在」であり、手続き上の大きな瑕疵があります。

さらに、附帯決議も取ったことになっていますが、それも誰も知りません。

そうすると本会議決議は無効になり、安保関連法案は無効ということになるのです。

 

ですが、改憲されてしまうと、今のこの議論の基礎を変えてしまいます。

 

 

 

■改憲草案

自民党の改憲草案を読んだことがありますか?

ポイントは

参院選の争点は経済だ/改憲だと言っていますが、実は

「改憲ではなく、憲法が憲法でないものになってしまう」

ということです。

 

憲法とは何か。

憲法と法律は全く性質が違います。

憲法は権力者を規制するものであり、法律は人びとの権利の制限をするものです。

法律の制約が義務が不当に人権を侵害をしている場合、憲法は法律を無効にします。

人びとの権利を憲法が定め、義務を法律が定めると言ってもいいでしょう。

だから、憲法には義務を書いてはいけないのです。(日本国憲法には3つしか義務がない)

 

ところが自民の改憲草案には、国民の義務が33個も書いてあります。

改憲ではなく、「壊憲」ともいえるものです。

もしこの草案を通せば、国際社会には、「日本は立憲主義ではなくなった」と宣言するようなものです。

 

自民党の改憲草案を見てみますと

 

12条 

現行)

この憲法が国民に保障する自由及び権利は、

国民の不断の努力によつて、これを保持しなければならない。

又、国民は、これを濫用してはならないのであつて、

常に公共の福祉のためにこれを利用する責任を負ふ。

  ↓

草案)

この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力により、保持されなければならない。

国民は、これを濫用してはならず、自由及び権利には責任及び義務が伴うことを自覚し、

常に公益及び公の秩序に反してはならない。

 

※国民は何でも国に従わないといけない。やられ放題になります。「公益の秩序、公に反してはならない」と、規制がかかります。9条がどうこうということが問題なのではなく、そもそも憲法じゃなくなる、ということが一番の問題です。

 

19条 

現行)

思想及び良心の自由は、これを侵してはならない

草案)

思想及び良心の自由は、保障する。

 

※これは由々しきことで、近代民主主義においては、人権は天賦のもので、もともと誰もが持っているものです。我々の基本的人権はもともとあったものなのに、草案では「国が保証する」と言っている。天賦ではなくなるのです。「国が保証してやる」ということは、制約もいろいろつけられるわけです。つまり自民党は、国民に基本的人権があるとは思っていないわけです。

 

19条-2

草案新設)

何人も、個人に関する情報を不当に取得し、保有し、又は利用してはならない。

※情報を持っていたら罰せられるということは、国家が情報を独占するということであり、国民は結託してはならないということです。明治憲法のように、国家のもとに国民を束ね、国に従う国民をたくさん作ることをしたいのでしょうか?

 

21条-2

草案)

前項の規定にかかわらず、公益及び公の秩序を害することを目的とした活動を行い、

並びにそれを目的として結社をすることは、認められない。

※こんな集会もできなくなります。捕まります。

 

24条

草案)

家族は、社会の自然かつ基礎的な単位として、尊重される。

家族は、互いに助け合わなければならない。

※家族が助け合うのは義務なのでしょうか。助けあっていない家族は生活保護を剥奪されるのでしょうか。

 

 

98条

草案新設)

内閣総理大臣は、我が国に対する外部からの武力攻撃、内乱等による社会秩序の混乱、地震等による大規模な自然災害その他の法律で定める緊急事態において、特に必要があると認めるときは、法律の定めるところにより、閣議にかけて、緊急事態の宣言を発することができる。

緊急事態の宣言は、法律の定めるところにより、事前又は事後に国会の承認を得なければならない。

内閣総理大臣は、前項の場合において不承認の議決があったとき、国会が緊急事態の宣言を解除すべき旨を議決したとき、又は事態の推移により当該宣言を継続する必要がないと認めるときは、法律の定めるところにより、閣議にかけて、当該宣言を速やかに解除しなければならない。また、百日を超えて緊急事態の宣言を継続しようとするときは、百日を超えるごとに、事前に国会の承認を得なければならない。

第二項及び前項後段の国会の承認については、第六十条第二項の規定を準用する。

この場合において、同項中「三十日以内」とあるのは、「五日以内」と読み替えるものとする。

 

99条

(草案新設)

緊急事態の宣言が発せられたときは、法律の定めるところにより、内閣は法律と同一の

効力を有する政令を制定することができるほか、内閣総理大臣は財政上必要な支出その他の処分を行い、地方自治体の長に対して必要な指示をすることができる。

前項の政令の制定及び処分については、法律の定めるところにより、事後に国会の承認を得なければならない。

緊急事態の宣言が発せられた場合には、何人も、法律の定めるところにより、当該宣言に係る事態において国民の生命、身体及び財産を守るために行われる措置に関して発せられる国その他公の機関の指示に従わなければならない。この場合においても、第十四条、第十八条、第十九条、第二十一条その他の基本的人権に関する規定は、最大限に尊重されなければならない。

緊急事態の宣言が発せられた場合においては、法律の定めるところにより、その宣言が効力を有する期間、衆議院は解散されないものとし、両議院の議員の任期及びその選挙期日の特例を設けることができる。

※緊急事態条項

99条では立法が内閣になり、事後に国会の承認を得ることでよい。

99条-3では国、公の指示に従わなければならない。

-4衆議院は解散されない。

これは「戒厳令が敷かれ、戦時下になる」ということです。

緊急事態条項だけは、宣言された瞬間憲法が100%効力を失うもので、これは絶対憲法に入れてはいけないものです。

しかし、今度の参院選の見通しはよくありません。2/3、選挙で取れなくても寝返り工作などで、2ヶ月以内に2/3を取られるでしょう。今から

 「2/3とられた後にどうするか」

を考えていかなくてはなりません。

 

 

 

■経済について

シールズポストに

「アベノミクスでいいやと思っているあなたに知ってほしい7つのこと」

を上げます。http://sealdspost.com/archives/3704

 

アベノミクスは(金融緩和)(財政出動)(成長戦略)の3つの柱があります。この中で、(財政)は公共事業のことで、(成長)はいまや原発と武器の輸出しかありません。

金融に関して、「ひたすら金融緩和します」といってお金を刷りました。世の中にお金が溢れ、インフレになり、お金の価値が下がりました。

 金利を下げ+インフレになる→お金をつかう環境が整う

というのがアベノミクスの考え方でした。企業に設備投資をさせようとしたのです。

ところが企業は、成長戦略がないので設備投資のネタがなく、設備投資意欲がわきませんでした。「日本は成長をしない」と企業の人は思っているのです。ただ、円安になったので、その分だけ儲かって、内部留保が増えました。

GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)」は年金のお金で株を買いました。最初株があがることはわかっていたので、それでみんな株を買い、最初株価は上がりました。でもこれはバブルなので(実体経済の成長ではないので)、必ず下がるのです。

現在GPIFは6兆円の損失を出したとされますが、それでは終わらず、何十兆円という損失を出します。円安が今後円高になるからです。

GPIFは株を売らないといけませんが、それが株安圧力になってしまうので、できません。結果年金が溶けてなくなってしまうのです。

 

アベノミクスにより企業に内部留保はたまりました。でも庶民の生活は全く良くならなかった。賃金が上がらなかったからです。実質所得は減り続けていて、消費は控えられています。日本は85%が内需の国なので、本来は国民の購買力が強くならないと経済自体も良くならないのです、でもアベノミクスではひたすら格差が拡大しただけでした。

そのことが国民にバレるとまずいので、安倍政権は争点そらしに懸命です。でも経済の争点をそらせるだけの大きなテーマは改憲くらいしかありません。

 

経済と憲法はこのようにつながっています。

7月末にまたGPIFの損失が発表になりますので、それをよくみてください。

 

 

 

■自民党自体

自民党支持者の中には、宮沢内閣のようなまともな保守政党をイメージしている方が多くいると思います。自民党はもともとは懐の深い政党で、吉田茂の流れを持つリベラルな保守など、中に様々な傾向を持つ派閥を内包しており、それが党内で政権交代を起こしていました。だから自民党でずっと政権を担当することができていたのです。

 

しかし今の自民党は、半ばカルト集団と化しています。安倍首相に同調する人しか動けない、まともな自民が声を上げられない状況になっています。

自民党支持者に対しても、「今、自民に入れないほうが良い、自民の中の多様性がますます失われてしまう」ということを訴えたいと思います。

 

民進党はいやだ、共産党怖い、と感じる人もいるでしょうが、共産党は別に怖くありません。また今回は参議院の半分しか改選されないので、政権交代の選挙ではありません。

2/3取らせなければ、ロビーイングができ、内部工作で2/3に達するのを遅らせることができます。そのうちに経済が悪くなり、改憲どころではなくなるというシナリオもあります。

とりあえず、10人中6,7人が自民支持だとすれば、3人をひっくり返せればいいわけなので、ぜひ一人づつでもひっくり返したいです。

 

 

 

■日米関係

アメリカはそんな日本をどう思っているのか。

安倍政権はアメリカのポチ化を推進しています。

アメリカは内政は基本不干渉、そして、もう世界の警察にはなれないと思っています。だからこそ、日本がその一部を肩代わりしてくれるならそれはウエルカム。

 

 

 

■個別的自衛権と集団的自衛権

 

個別的自衛権=専守防衛

集団的自衛権=兵站が出来る(ロジスティクス)、補給ができる 

という変更が行われました。

 

従来は弾薬補給=武力行使という解釈なので、補給に対して攻撃されたら攻撃し返すことが可能だった。

しかし集団的自衛権では、「補給は武力行使と一体ではない」、としたので、

たとえば攻撃されているA(アメリカ)へのB補給(日本)への攻撃に反撃することができなくなった。

 

個別的自衛権なら出来たのに、集団的自衛権になったら、自国の防衛ができない。アメリカを助けるがために、自国の防衛を棄損した。

(日本は原発が攻撃されたらおしまいです)

 

この集団的自衛権は、かくの如く日本の国益の追求をせず、米国の中東での軍事活動の補給をするための法律です。(立法事実がないといいます)

 

ホルムズ海峡での機雷敷設の例をあげての説明がありました。これも、日本には石油備蓄は190日あり、半年以上あればホルムズ海峡を通る石油がなくても、ロシアや米国、中国からの石油輸入などいろんな案が考えられるでしょう。非現実的な想定の議論と言わざるを得ません。

 

また、日本がアメリカの51番目の州になるのでは、という人も居ますが、そんな風にはアメリカはしてくれないでしょう。人口1億の日本を州にするなどありえません。

それよりも日本はアメリカのリベラルな人びととどう繋がるか、アメリカにも実はいろんな考え方があるので、日本政府と密接な人とだけつながるのではなく、広くつながりを求めていくほうが健全です。

 

 

 

■国民投票について

改憲については国民投票があるのでは、という人が居ますが、あれは砦にならないと考えています。そもそも国民投票に関する法規は欠陥法で、改憲に賛成したらクーポンあげるとか賄賂とかもOKなんです。公職選挙法に制限されていないからです。

また、投票率は上がらないことも予想されます。例えば韓国はめちゃめちゃ投票率が高いのですが、水曜日に設定しています。会社や学校を休みにして、選挙に行くように仕向けられています。あるいは一定以上の投票がないと無効、のような措置も本来は必要です。でもそうなっていない現在、国民投票で改憲を阻止できるかはかなりギモンです。

 

 

 

■日本会議について

もともとは設立当初の当初の生長の家の思想がベースになっています(今の生長の家は違います)。

近代における人権思想は、神との間にだけ上下があり、人間同士は神の前で平等というキリスト教思想から発生しています。日本は一神教ではないので、神様ではなくなにがあるかというと、世間なんですね。「世間に顔向けできない」というあれです。

制度上、戦前の日本には「すべての人に平等な人権」という思想はなく、男子の大人に例外的に国家によって与えられているものでした。日本会議は、そのころがよかったという思想にもとづいています。

日本には市民革命が起きていないので、人権を獲得したというプロセスがないのも、近代法的人権意識が希薄な理由の一つです。

 

日本会議は20年頑張って地道な努力を続けてきた、ある種の草の根運動です。明治憲法を最善とし、そこに還ることを目的としていますが、よっぽどの覚悟(20年戦う)がないと、倒せません。私達にも、「20年がんばれますか」という覚悟が問われています。

 

 

 

■集団的自衛権で自衛隊は

オバマ政権は、軍事費を削減し続けています。世界の警察の役割も、相対的に下がってきています。

オーストラリアやイギリスはアメリカのパートナーですが、オーストラリアはアフガンで兵站を担当し、400人戦死ししています。集団的自衛権で、アメリカの軍事活動に加担していけば、戦死者はかならず出るでしょう。イラク特措法の時代、後方は、戦場と非戦場、非戦場は安全な場所と非安全な場所、この3つに分かれていました、でもそれがこれからは戦場と非戦場(今戦闘が起きていない場所はすべて後方)になります。非戦場は、戦地では即戦場になりうるので、危険度は格段に増すのです。

 

 

 

■最後に

こうしたことは、世の中のインテリと言われる人も殆ど知らないことばかりですし、自民支持者の中でも殆ど知られていません。

私たちはこうした内容をちゃんと知って、この後の日本をどうしていくか、考えて行動しないといけません。

 

 

 

 

<参考>

以下の文章は参院特別委員会での強行採決に先立ち、2015年9月16日に横浜で行われた地方公聴会の水上公述人の書き起こしからの抜粋

 

 

これを考えるにあたっては、逆に日本が攻撃されている場面を考えてみることが重要です。資料1の5ページおよび6ページをご覧ください。まず5ページは、『我が国に対してA国が攻撃をしてきている場合』、具体的には、『我が国に対してA国の航空機爆撃機がミサイルで攻撃をしてきて、ミサイルを撃ち終わった航空機が、再び我が国の領海のすぐ外の公海で補給艦で補給を受ける』という場面です。

 

 これは、A国が爆撃機で攻撃してきて、A国の補給船がそこに弾薬を補給する、という場面ですから、政府の説明でも当然に『個別的自衛権を行使できる場面だ』、というふうに説明がされています。

 

 次のページ、6ページをご覧いただきますと、このA国が行った補給艦の部分を、B国が行ったらどうなるか、という事例になります。これについては、国際法上の常識から考えれば当然に、B国に対しても、少なくともこの事例、『爆撃機に対して弾薬を補給して、直ちにその爆撃機が再び日本に攻撃しに来る』、という事例においては、B国の補給艦に対して個別的自衛権が行使できるはずです。

 

 というのは、このような武力攻撃とまさに密接不可分な行為は、もはや中立国の行為とは認められず、この国、B国自体が交戦国となってしまいますから、国際法上は、B国の補給艦は軍事目標になります。従って当然に個別的自衛権が行使できるはずです。逆に言うと、これができないってことになると、日本はずっと攻撃され続けてしまう、ということになります。我が国の安全保障が極めて深刻な影響を与えられる、ということになります。

 

 ところが今回、政府は、このようなB国に対して、『反撃できない、自衛権行使できない』、という答弁をされました。これはどういうことかと言うと、その次のページ見て頂きますと、今度はこのB国の立場が日本になった場合、どうなるかという話です」

 

 

 

■わが国の個別的自衛権を犠牲にして、米国の武力行使を支援するのが安保法制の本質

 

水上公述人「つまり、アメリカがA国の立場になり、その補給をするB国が日本になった場合、日本は、『アメリカから攻撃を受けている他国から、個別的自衛権を行使されますか』、というときに、個別的自衛権が行使される、ということになると、個別的自衛権の行使の対象は武力攻撃ですから、日本がやっているの(補給)はアメリカと一体化した武力の行使だ、ということになってしまいますので、日本は、この行為を『武力の行使と一体化していない』と説明をするためには、B国に対しても反撃できない、と言わざるを得ない、という状態になったんです。

 

 これは明らかに、全世界でアメリカの武力攻撃を支援するために、我が国の自国防衛を犠牲にした、ということです。むしろ、我が国の安全保障が重要だと考えるとすれば、このような法律を作ってはいけないんです。

 

 

 

 

 

 

 

<講師プロフィール>

1976年生まれ。銀行系シンクタンクを経て弁護士。一橋大学商学部経営学科卒。早稲田大学大学院法務研究科修了。青山学院大学法務研究科助教。一般社団法人ReDEMOS理事。著作に、『弁護仕分け人が語る 事業仕分けの方法論』(日本評論社)、『高校生からわかる 政治のしくみと議員のしごと』(共著、トランスビュー)ほか。

 

 

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